文学部とは

文学部の理念と特徴

千葉大学文学部は、さまざまな視点・方法で、
人間自身とその文化とをトータルに、また根源的に考察することをめざしています。

文学部とは何をするところでしょうか。名前の通り、「文学」について学ぶところでしょうか。もちろん、それは間違いではありません。でも、文学部で行なうことはもっともっと広いのです。文学部とは「文」について学ぶ「学部」なのですから。
では、「文」とはいったい何でしょうか。『広辞苑』という辞書には、こう書かれています。

「武に対して、学問・学芸・文学・芸術などをいう。」

つまり、「文」とは「学問」や「学芸」の同義語、「学問」とか「学芸」そのものを意味する言葉でもあるのです。ですから、文学部とは「学問」や「学芸」を修める学部ということになります。そして、およそ大学というものが「学問」を修めるところだとするならば、文学部こそは、その名称からして、学問の根元をきわめる最も大学らしい学部ということになるでしょうか。

千葉大学文学部のめざすもの

それでは、千葉大学文学部がどのような「学問」や「学芸」を修めるところか、より具体的に述べてみましょう。

「学問」や「学芸」といっても、その中身は実に多種多様です。
伝統的な学問の区分の仕方として、人文科学、社会科学、自然科学という分け方があります。これら三つの「科学」の間の区別は決して固定的、絶対的なものではなく、相互に入り組み、密接に関連し合っているのですが、一応この分類に従うことにすると、千葉大学文学部が主としてかかわるのは、人文科学の領域ということになるでしょう。

文学部の「文」は、したがって人文科学の「文」でもあるのです。

では、人文科学とはどういうものでしょうか。それは、簡単に言えば、「人」間と人間の生み出す「文」化を対象とする学問のことです。もう少し具体的に言えば、人間とは何かという根本的問いに始まり、人間の思惟や知覚や認知の仕組み、文化の形成過程やその特徴、社会における人間関係のあり方、文化や社会の時系列的変容のすがた、世界のさまざまな地域での言語や文化の特性などの研究がそこに含まれます。

千葉大学文学部は、このようにさまざまな視点からさまざまな方法を用いて、人類にとっておそらく永遠の謎である人間自身とその文化をトータルに、また根源的に考察することをめざしています。

ところで、このような学問は、これを学べばすぐに社会で役立つとは言えないかもしれません。しかし長い目で見れば、そうしたトータルで根源的な目を持っているものこそ、社会に貢献できるのではないでしょうか。世の中は非常に短期的な効率や利益を追い求めることに汲々としているようですが、より長期的な視座でじっくりと人間や社会や文化の根源を見据える文学部での学問が、これからの時代にあってはますます重要性を増していくはずです。

千葉大学文学部の特徴

それでは次に、以上のような理念に基づいて行なわれる千葉大学文学部の教育の特徴について述べてみましょう。
それは以下の4点ほどにまとめられると思います。

1) 学際性と自律性

文学部の理念や目的を達成するために、私たちは、広い教養教育(千葉大学では「普遍教育」と呼んでいます)を重視するとともに、所属するコース以外の他コースの授業を積極的に受講するように学生に指導したり、自分の関心に合わせて自由に専門分野やコースを選べるようにしています。これは、学生の側から言えば、自分で解決すべき問題を見出して、自分で研究の計画を立て、それを実行していくということになります。

2) 少人数教育と高度な外国語および情報処理教育

しかしそのために教員はできる限りの支援をします。新入生を対象としたオリエンテーション・セミナー、少人数の演習や実習、卒業論文指導など、あらゆる段階できめ細かく学習のサポートをする体制を用意しています。
また、英語やその他の外国語の教育に力を入れており、文系の学部としては非常に高度な情報処理教育を実施し、優れた情報処理環境を備えています。

3) 国際性

文学部の教育研究は国際的に開かれています。学生のみなさんに海外で学んでもらう体制を整備し、また多くの留学生を受け入れ、留学生と日本人学生との交流も盛んに行なわれています。

4) 研究者養成と職業人養成

私たちは、将来の人文科学を担うことのできる研究者の養成に力を入れています。そういう研究者になることを希望する学生には、本学の大学院へ進学する道が開かれています。
しかし同時に私たちは、広い学問的裾野をもちながら専門の職能の資格を備えた職業人の育成にも努めています。教員免許状や学芸員資格に加えて、図書館司書資格も取得できます。

文学部における学生の学習到達目標

文学部では、千葉大学全体の学位授与方針に基づいて、以下のような学習到達目標を掲げています。

行動科学コース

  • 自由/自立の精神:社会や人間についての隠れた問題を、権力や既成概念にとらわれない方法で明らかにし、その解決や解明に向けて自ら取り組むことができる。
  • 地球規模的な視点からの社会とのかかわりあい:自分の専門領域を多様な人文科学全体のなかで位置づけることで、社会や人間についての諸問題に対し、学んだことを役立てることができる。
  • 普遍的な教養:人文科学のみならず、行動科学に隣接する社会科学や自然科学の諸領域の方法論・知見を総合し、多様な文化・価値観、社会や人類が直面する課題に取り組むことができる。
  • 専門的な知識/技術/技能:社会や人間についての綿密な実験・調査やそれに基づく徹底した議論を通して、自らが拠って立つべき各ディシプリンの根幹を身につける。
  • 高い問題解決能力:社会や人間の諸問題について、他の学生と討議しながら解決の糸口を模索したり、他の学生と共同で実験・調査に取り組むことで、目標に向かって他者と協力し合う技術を身につける。

歴史学コース

  • 自由/自立の精神:自立した社会人・職業人として、自己の設定した目標を実現するために歴史学的知見を生かし、自己の良心に則って自ら思考し自ら行動できる。
  • 地球規模的な視点からの社会とのかかわりあい:世界史の流れをよく理解し、国際的視野をもって社会活動を行うことができる。
  • 普遍的な教養:歴史学ばかりではなく、多様な教養を身につけ、国内外の多様な文化や価値観、社会、自然、環境について理解し、人類や社会が直面する課題について理解することができる。
  • 専門的な知識/技術/技能:体系的に修得した歴史学的な実証精神や論理思考をもって、直面する様々な問題に対処することができる。
  • 高い問題解決能力:歴史に現われた様々な人間関係や社会矛盾の有り様に学んで、他者との関係性を構築し、それに基づいて協調・協働して主体的に問題解決に取り組むことができる。

日本・ユーラシア文化コース

  • 自由/自立の精神:日本文化学科において専門的諸分野の研究をする環境の中で、他者を尊重しつつ自由かつ自立した立場で問題を考察し、また発信する能力を獲得した社会に対して自律的行動が取れるようになる。
  • 地球規模的な視点からの社会とのかかわりあい:日本とユーラシア諸地域の少数者を含む文化的、社会的位置づけや相互交流を理解することにより、自己の置かれるであろう社会環境に応じた責任のある貢献をする資質を身につける。
  • 普遍的な教養:単一に見えながら多様かつ多層的である日本の文化やユーラシア諸地域の文化、異文化との接触を専門的に研究していく中で、自己を客観的かつより良く知ることにより、自文化中心主義に陥らず、多様な文化的価値観に対応できるような普遍的教養を身につける。
  • 専門的な知識/技術/技能:各種文章の解読・読解、必要とする資料・情報の収集及びそれらの分析に際する高い能力を獲得した結果、諸方面においてこれらの能力を生かしつつ活躍ができるような水準に達する。
  • 高い問題解決能力:集団における自己の相対的立場を認識し相手の立場を理解したうえで、多様な形式の授業や討議の時間において訓練し獲得した問題解決能力をもって、諸課題を柔軟に解決していくことができる能力を獲得する。

国際言語文化学コース

  • 自由/自立の精神:自立した社会人・職業人として、自己の設定した目標を実現するために自ら新しい知識、能力を獲得でき、自己の良心に則り社会の規範やルールを尊重して行動できる。
  • 地球規模的な視点からの社会とのかかわりあい:自己の専門領域の社会的、文化的位置づけを理解し、自己の専門的能力を持続的な社会の発展のために役立てることができる。
  • 普遍的な教養:国内外の多様な文化・価値観、社会、自然、環境について理解し、人類や社会が直面する課題について認識を持つ。
  • 専門的な知識/技術/技能:専門領域に関して体系的に修得した知識・技術・技能をもとに、直面する状況における問題解決に向けた実証的・論理的思考を展開し、実践につなげることができる。
  • 高い問題解決能力:専門領域の事項も含めて、他者と考えや情報を共有でき、それに基づいて協調・協働して行動し、主体的に問題解決に取り組むことができる。

あなたもぜひ 「知の共同体」に

以上のように、千葉大学文学部は学生と教員が深い触れ合いとコミュニケーションを通して共につくりあげる「知の共同体」です。
みなさんの意欲に満ちた若々しくみずみずしい力を、私たちは心から歓迎します。

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