学生による教員インタビュー

石井正人先生(国際言語文化学コース)

国際言語文化学コース:石井正人先生インタビュー

教員インタビュー:国際言語文化学コース 石井正人先生

学生委員:石井先生、本日はインタビューにご協力いただき、ありがとうございます。さっそくですが、石井先生の研究分野はどういったものなのでしょうか?

石井:私の専門分野は、もともとは歴史言語学といいまして、ドイツ語史やラテン語の歴史など、言葉がずっと変化してきたということについて、その過程を研究しています。もちろんそういった言葉の変化をみるためには、昔の文献をたくさん読まなくてはいけません。古いテキストを読んで正しく理解、解釈するための学問を文献学というのですが、その文献学も私の専門です。

学生委員:先生はさまざまな言語を学んでいらっしゃいますが、外国語を学ぶ良さとはなんでしょうか?

石井:「意味が取れるようになったときのおもしろさ」っていうのが一番ですね! 人とコミュニケーションが取れるというのはもちろんだけれど、それだけじゃなくてたとえば文献も読めるし、海外のインターネットサイトも読める。今はインターネットが発達したから、外国語に容易に触れることができるようになったけど、たとえば英語で書いてある子育ての質問でも、内容は日本人がもつ疑問と同じなんだよね。どんなに文字が違って発音も違っていても、私たち日本人と同じようなことを感じている。かたちが違っていても中身は同じ、そういうことが「わかる」っていうおもしろさも是非知ってもらいたい。まずは外国語をひとつでもふたつでもやってみてほしい。たいてい3つくらいできるんですよ!

学生委員:学生に望むことはなんでしょうか?

石井:一番身につけて欲しいのは、面白がって知識を増やしたり調べたりすることだね。とにかく面白がるってことは長く続くってことだからね。小中高と勉強して、大学まできたということは、黙って課題をこなしたり、嫌なことでも多少がまんしてやるっていうことは出来てきたわけだし、それも大切だけどね、そうではなくてもう趣味の域にもっていければいいよね。まぁ、ただ授業を忘れて面白がる方ばかりになってはいけないんだけどなぁ!(笑)

 それから、実際に2つほど身につけて欲しいことがあるんだけどね。まずは語学関係で、筆記体。これ、習わなかったでしょ? ペンマンシップとかを配って「あとは自分でやりなさい」って感じで。今の教育制度では時間がない以上それが最良の選択なんだけども、きちんとしたグローバル社会にでる人間としては筆記体が書けないとそこで人格が見られるんだよね。グローバリゼーションを考えたら絶対に身につけておいた方が良い。それからもう一つは、作文の書き方。最近少し見直されつつあるんだけど、作文リテラシーだとか感想リテラシーということ。これは後々の研究発表や、就職してからの企画提示なんかでも役に立つから、少し勉強した方が良いかもしれない。ほら、授業中に感想シートを書けって言われて「うっ」って詰まることとかあるでしょう? なんでかって言うと、日本の作文教育の基本は随筆を書くことなんだよね。さらさらと書いて味わい深い、みたいな。でもそれはひとつの芸であって、そんなのは人生経験を積んでから書いてくださいな。

 作文なら1/4くらいは内容の要約、紹介をして、あとはね、ポイントを書いていけばいいんです。感心した点、学んだ点、よくわからなくてもっと説明を聞きたいと思った点、反発した点。この4つくらいにまとめればいいんですよ。無かったら無くてもいい。学んだ点はなかった、でもね(笑)。3つ目なんてきっとあるでしょ?「アルザス地方の話だ」って、じゃあ「アルザス地方ってどこですか?」とかね。授業のコメントカードなら、そういうところを書いてもらえると受ける方としても嬉しい。メモやコメントならポイントを羅列していけばそれで十分整理されているんだから、下手につないだり、まして余韻を残した文章を書こうなんて思わなくていい。問題は論点が立っているかどうか。文学部に来る人って、言葉を使うことが好きなわけであって、ベタに語りたい!語りたい!というのがあるから、指導のときも論点だけ最初に出せば、後はあなたがたが勝手に語りますよね(笑)。論点に従って調べて、考えて書く、つまり論点を深めることでレポートができるんですよ。最初にぷちぷちぷちっと論点が出せないと、納得したレポートは書けない。初めに論点が立つかどうかというのが大きな問題ですね。これは是非、訓練してもらいたい。せっかく文学部なんですから、そのうちこういう授業もやりたいね。

学生委員:ありがとうございました。最後に、学生にメッセージをお願いします。

石井:みなさん、こぞってラテン語の授業を受けて下さい!(笑) というのもね、その授業はほんの少しかじってもらえるだけでいいんです。ビデオ有り、音楽有りで、入り口は高いけれど中は健やかなもんですし、なにより英語を専門にするにしても、日本語を専門にするにしても、必ず得るところがあると思うよ。

 それから、物事を比較して見るということかな。横、つまり他の文化と比較して見ることも、縦で歴史的に見るということも大切。「これが伝統的な日本だ!」って思っていたものが、実は比較的新しいものだった、なんてざらにあるからね。皆さんには是非、出来るだけ寛容で、広い視野を持った人になってもらいたいですね。そして楽しみながら勉強してもらえると一番うれしい!

担当学生委員:須藤由佳、高橋愛馨

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