学生による教員インタビュー

兒玉香菜子先生(日本・ユーラシア文化コース)

日本・ユーラシア文化コース・兒玉香菜子先生インタビュー

教員インタビュー:日本・ユーラシア文化コース 兒玉香菜子先生

学生委員:先生は現在(2011年度後期)、何の授業を担当なさっていますか?

兒玉:内陸アジア文化論演習とユーラシア言語文化論演習という授業を担当しています。

学生委員:それぞれどのような授業ですか?

兒玉:内陸アジア文化論演習はモンゴルの歴史、文化を扱っている英文の本をみんなで読む、という内容と、自分がテーマを決めて、調べてきたものを発表するという内容とを並行して進めています。ユーラシア言語文化論演習では、(アイヌ民族が専門である)中川先生と一緒にやっているゼミで、映像資料を見るというものです。たとえば、モンゴルの映画を見てディスカッションをしたりします。アイヌの文化と比較するなど、視野が広がります。

学生委員:内陸アジア文化論演習の学生の雰囲気は?

兒玉:ゼミ発表のときは、他の学生から活発にいろいろ質問やコメントが出ているので、望ましい形かなあと思っています。他の講義でも言っているのですが、何か必ず質問する気で聞いて下さい、と言っています。論理のおかしいところでも、全然違う角度からの疑問でもなんでもいいので、質問してもらうようにしています。

留学生の院生にも出てもらっているというのも一つの特徴ですね。モンゴルについての文献を読んでいて、例えば習慣などに疑問を持ったら、その地域出身の留学生に聞いてみる、ということも出来ます。また食文化も経験するということで、留学生にモンゴルのお茶をつくってもらって実際に飲んでみたり、餃子やボーズという蒸し料理をつくったりしました。見たり読んだりするだけでは分からないことを学ぶわけです。海外学修プログラムなどを利用して中国やモンゴルへ行く学生もいます。

学生委員:専門分野について教えてください?

兒玉:中国にある内モンゴル自治区の牧畜を生業として生活している人々の研究です。中国の政策と環境問題による、モンゴル民族の生活の変化を調べています。日本人の目ではなく、出来るだけ彼らの視点に立って考える、というのが自身の研究の大きな特徴です。

学生委員:興味を持つようになったきっかけは何ですか?

兒玉:私には語学コンプレックスがあって、何か一カ国語ぐらいまともに話せるようになりたいとも思っていたのです。そこで、第二外国語として選んでいた中国語を勉強しようと思って、学部生時代に中国に一年留学しました。そのときに内モンゴルに行き興味を持ちました。旧社会主義である中国の町はどこも同じような街並みですが、内モンゴル自治区は町のつくりや自然環境が独特であり、それが面白いと思ったのです。

当時の私の指導教官がたまたまアフリカの牧畜民についてやっている先生で、モンゴルでの経験を話したら、面白いからそれを卒論で研究するようすすめられました。専門は文化人類学に決めていて、地域はできれば日本にしたいと考えていたのですが、日本文化なんかだめだよと一蹴されました(笑)。そのときに、集めたデータをもとに卒論を書いたのです。それがきっかけです。

学生委員:高校生に向けて一言お願いします。

兒玉:千葉大学文学部の長所は深く幅広く学ぶことができるところ。何か一つのことに詳しい人は山のようにいる。横幅の広い知識や考え方、柔軟性を持った人になるということが、将来差のつくところです。知識を詰め込むだけの高校に対して、大学、特に文学部は何か面白いテーマを見付けて、調べてまとめるという能力を身に付けるところです。ぜひ大学では、高校で得た知識を材料として、「なぜそうなのか」ということを考えてほしいです。


(上)学生と訪れたモンゴルにて:右から4番目が兒玉先生


(上)調査でお世話になった家で:中央が兒玉先生

【インタビューを終えて:学生委員からひとこと】

 ユーラシアの文化を学ぶことで、日本文化を見つめなおすというのが私たちのコースの特徴の一つ。対象を一つの国や地域に限定する「点の思考」ではなく、様々な文化のつながりを意識した「面の思考」で研究できるのが魅力です。幅広いことに興味を持つ、知的好奇心の高い人にオススメのコースですよ!

担当学生委員:平岡亮治

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