学生による文学部授業紹介

英語圏文学演習c(国際言語文化学コース専門科目)

授業紹介:英語圏文学演習c

文学部国際言語文化学コースでは、小説、映画、演劇、テレビドラマなど多様なメディアを対象とした授業が行われており、それらを鑑賞、分析、批評して作品の理解を深め、文化の多様性や国際関連性について多角的に学ぶことができます。

例えばこの「英語圏文学演習c」の授業では、19世紀後半の小説Joseph Conrad, Heart of Darkness (1899)と、この小説を原作としてつくられたFrancis Ford Coppolaの映画Apocalypse Now (1979)を比較して、原作の小説が映画という視覚的なメディアに変わることでどのように作り替えられているのか、という点を考えます。

みなさんが普段小説を読んだり映画を見たりするときには、あるキャラクターの行動や、映画の中で使われている音楽について、その理由をじっくりと考えることはあまりないのではないでしょうか。この授業では、そのような見落とされがちな作り手の狙いを探ることで、より作品の奥深さに迫っていきます。

例えばこの映画では、作品の舞台がコンゴからベトナムへと移り、登場人物の名前が変えられ、ときには小説には存在しない場面が追加されることもあります。また音楽、表情、視点の変化などの映画ならではの表現によって、小説との大きな違いが浮かび上がってきます。このように表現方法の違いを分析し、作り手の意図が何を意味しているのかを考えることは、当時の社会状況や思想を知ることにも繋がります。この小説と映画で描かれる「植民地政策」の問題は今なお残り続けており、過去の作品の作り手たちが、今を生きる私たちに何を伝え残しているのかを知ることは、グローバル化が進み多様な人々と関わりあう現代において非常に重要だと言えます。

また、授業で扱うHeart of Darknessは英語で書かれた原書であり、授業内でのディスカッションも全て英語で行うため、授業を通して確実に語学力を向上させることができます。自分には難しすぎる、と不安に思う方も多いと思いますが、決してそんなことはありません。国際言語文化学コースでは、一年次から外国語を徹底的に習得するためのさまざまな授業が準備されており、また授業の多くは少人数で行われるため指導教員との結びつきが強く、分からないことがあればいつでも質問をすることが出来ます。

外国の小説や映画に触れることは、現代の日本という場所から飛び出して、世界中のあらゆる時代の、どんな場所であっても、まるでタイムスリップしたかのようにその世界観を体験することだとも言えます。そして、このような体験を入り口として、そこから分析や批評という世界に踏み出し、自らの経験をより深みのあるものにすることに、大学で学ぶことの意義があると感じています。少しでも興味が湧いた方はぜひ、国際言語文化学コースへの入学を検討してみてください。このコースでは、この他にも多くの魅力的な授業を用意してみなさんをお待ちしています。

紹介者:山口日菜子

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