「レジリエント社会・地域共創シンポジウムin 銚子 2025 分断から融和へ:食の視点から考える人と地域のwell-being」を開催しました。
令和7年12月6日(土)に千葉科学大学との共同主催で、千葉科学大学防災シミュレーションセンターにて「レジリエント社会・地域共創シンポジウムin 銚子 2025 分断から融和へ:食の視点から考える人と地域のwell-being」を開催しました。本シンポジウムは国立大学協会の支援のもと、「レジリエント社会・地域共創シンポジウム」の一環として採択された事業です。なお、本シンポジウムの企画・運営に際し、(一財)銚子円卓会議のご尽力を賜りました。
第一部では、「食、レジリエンス、そして地域創生」をテーマにした千葉大学人文科学研究院の小谷真吾教授と千葉科学大学危機管理学部長、木村栄宏教授による2つの基調講演がおこなわれた。「食」「レジリエンス」「地域共創」といった概念は、それぞれの立場や分野によって異なる意味合いで用いられがちであるが、本シンポジウムでは学術的な整理と現場の実践が交差することで、これらの概念が抽象論に終わることなく、銚子という具体的な地域文脈の中で再定義された。

小谷真吾 千葉大学人文科学研究院教授による講演

木村栄宏 千葉科学大学危機管理学部長・教授による講演
第二部では、分野横断を意識した地域における先進的な取組み事例として、地元企業家による共助、商助や地域共創に取り組む3事例が紹介された。具体的には、「共助と商助を引き出すOSUSOWAKEを通したレジリエントな地域社会への挑戦(根本商店専務・根本吉規氏)」、「生産・販売・広報・消費の未来を紡ぐ銚子メロン共創プロジェクト(磯初代表・飯田訓文氏)」、「気前のよい漁師文化を街に再び!銚子のワイナリーの挑戦!(銚子葡萄酒醸造所座古萬蔵商店・坐古拓也氏)」である。地元企業による共助・商助・地域共創の実践を、大学の知見とともに社会に発信したことは、銚子における取り組みを個別事例にとどめず、他地域にも示唆を与えるモデルとして位置づける試みであった。
第三部では、和田健国際学術研究院長・教授による進行の下、第2部の報告者3名に加え、キンメダイのブランド化と海外販路の拡大に取り組んできた銚子市行業協同組合の大塚憲一専務理事と石毛康弘常務理事、長く銚子で醤(ひしお)販売に従事し、さらに防災の専門家である室井房治千葉科学大学招聘教授の3名の専門家によるパネルディスカッションをおこなった。その際に、千葉大学文学部の卒業生で全漁連に勤める有泉茉佑氏と、防災や地域振興、観光について調査研究を進める千葉大学と千葉科学大学の院生学部生3人にコメンテーターとして参加してもらうことでより議論を深めた。それにより、地域に根付く「食」を起点とした議論が、産業振興や観光、福祉、防災、教育といった複数の分野へと横断的に広がった。

モデレーター 和田健 国際学術研究院長・教授によるパネルディスカッション

コメントとして参加した千葉大学文学部学生
本シンポジウムは、単なる研究成果の発表や事例紹介にとどまらず、銚子市における官民学連携の「現在地」を可視化し、今後の地域づくりの方向性を共有する重要な契機となった。とりわけ、地元企業による共助・商助・地域共創の実践を、大学の知見とともに社会に発信したことは、銚子における取り組みを個別事例にとどめず、他地域にも示唆を与えるモデルとして位置づける試みであった。これは、地域の実践者にとって自らの取り組みを再評価する機会となったといえる。
今回のシンポジウムの動画はhttps://choshientaku.com/(準備中)からご視聴いただけます。
本シンポジウムは千葉大学文学部専門科目「フィールド調査法演習」及び「東北アジア文化論演習」と千葉科学大学危機管理学科専門科目「危機管理学演習」及び一般基礎科目「プロジェクト学習」の授業成果の一部です。
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