学科 | 史学 | 授業コード | L2809201 | 科目の種別 | 専門 |
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単位数 | 2 | 期別 | 前期 | ||
曜日・時限 | 金4 | ||||
授業科目 | 東アジア史概説 | ||||
授業科目 (英文名) |
Introduction to East Asian History a | ||||
担当教員 | 山田賢 | ||||
履修年次 | 1,2 | ||||
教室 | マルチメディア講義室 | ||||
副題 | 中国王朝国家論 | ||||
概要 | この講義では、アジア史の中から、中国王朝国家の歴史を中心に概説する。ただし、通史的な王朝交代の歴史を時間軸に沿ってなぞるのではなく、むしろ諸王朝国家を貫いて長期的に持続していた秩序の「構造」に注目しつつ、議論を進めることになる。 | ||||
目的 | ヨーロッパや西アジアなどとは異なったかたちで大規模社会の統合を実現してきた「中国」という世界について、その歴史的基層から理解してもらうことを目的とする。 | ||||
授業内容 | 伝統中国諸王朝は、たとえばヨーロッパ社会などとはまた異なった構想によって、大規模社会を統合するための手法を洗練させてきた国家である。社会を、まさにひとまとまりの社会として成立させるための契機は多様であり得るかもしれない。この講義の最終的な目的は、伝統中国社会の事例に対する考察を媒介して、さらに受講者をその先へ、比較史的な観点に導くことである。 この講義は中国王朝国家の歴史について扱うが、年表に沿って順次事件を追っていくような概説は行わない。第一部では長期的に持続した王朝国家の構造を中心に、第二部ではいくつかの大きな転換期を時間軸に沿って概観する。以下のような項目について順次論じていく。 第一部:持続する構造 (一)皇帝制度─光り輝く世界の中心 1)「都市」:宇宙的秩序の縮図としての都市 2)「天命」という思想:王権を正当化する論理 3)「徳治」:鼓腹撃壌の理想と伝統中国の政治思想 (二)官僚制度 4)「父母官」:地方官僚の責務と伝統中国の官僚制度 5)「科挙」:競争に開かれた成功への階梯 (三)法と経済 6)「律」と「裁判」:正しさの根拠と裁判─伝統中国の刑法 7)王朝国家の徴税と財政 (四)社会 8)「イエ」と「家」:伝統中国の血縁社会 9)「ムラ」と「村」:伝統中国の地縁社会 10)「秘密結社」の理想:相互扶助的ネットワーク 第二部:変動と転換点 11)古代国家における「貴族」制:流動する社会と「桃源」の夢(魏晋南北朝) 12)「唐宋変革」:内藤湖南の「唐宋変革論」・中国史における「北」と「南」(唐から宋へ) 13)ユーラシア「モンゴル」の衝撃:陸の帝国と海の帝国(元と明) 14)世界史上における「16世紀」:「銀」流通と清朝の興起(明清鼎革) 15)中国史の構造:全体総括と到達度確認 |
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履修要件 | |||||
教科書・参考書 | 事前に「ながめて」おいてもいい参考文献は以下の通り 若干専門性の高いものについては、授業のなかで順次紹介するが、ここでは中国史に関わる概説書を紹介する。 ・ 中央公論社〈世界の歴史〉シリーズから 第2巻『中華文明の誕生』、第6巻『隋唐帝国と古代朝鮮』、第7巻『宋と中央ユーラシア』、第9巻『大モンゴルの時代』、第12巻『明清と李朝の時代』、第19巻『中華帝国の危機』、第27巻『自立へ向かうアジア』、など ※ 1990年代の末に出されたシリーズ。比較的新しい研究成果を織り込むとともに、それぞれの巻ごとに執筆者の個性が全面に出されており、賛成するかどうかは別にして、おもしろい概説になっている。とくに、第9巻、第12巻、第19巻など。 ・ 講談社〈中国の歴史〉シリーズ全12巻 ※講談社からは1970年代に中国の歴史シリーズ10巻が出ていた。近年ようやくこれに代わる新版中国の歴史が刊行されたが、先行する中公版世界の歴史よりさらに著者の個性がはっきりと打ち出された概説。総体として見れば、現在もっとも充実した中国史の概説である。 |
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評価方法・基準 | 平常点(授業への参加状況、小テスト)50%、到達度確認テスト50% | ||||
備考 | コメントカードは必ず目を通しますが、受講人数の関係上、一つ一つについてこちらからのコメントを再度記述して返却することはしません(できません)。特に回答の必要があると思われるようなコメントがみなさんからあれば、できるだけ授業中にその問題に触れるようにしたいと思います。また、個別に質問などがある場合には、授業時間終了時に声をかけてくださってもかまいませんし、あるいは木曜・3限のオフィスアワーに文学部棟4階413研究室をお尋ねください。yamada@L.chiba-u.ac.jpあてにメールを出して、事前に約束いただくのが確実です。 |