教員要覧

中川裕

中川裕 (ナカガワヒロシ)

  • 日本・ユーラシア文化コース
  • ユーラシア言語文化専修
  • nkg@faculty.chiba-u.jp
  • 電話番号: 非公開

略歴

1955年
1981年 東京大学大学院人文科学研究科言語学専修課程中退  文学修士

研究内容

アイヌ語の研究

アイヌ語は日本列島で古くから話されてきた言語であり、日本固有の言語である。日本語とは少なくとも千年以上は接触しているので、お互いの単語の借用はもちろんある程度あるが、日本語とは全く別の言語である。そのアイヌ語を理解するために、文法や単語の意味についての研究を行っている。

アイヌ語の教育

アイヌ語は現在日常会話ではほとんど使われなくなっているが、日本語で育った世代の人たちの中で、アイヌ語を自分たちの言葉として取り戻そうという動きが盛んになってきている。そうした人たちを中心にアイヌ語を教える活動を行っている。また、日本人は一般にアイヌ語についてもアイヌ人のことについてもほとんど知識がない。そうした状況を改善するために、千葉大文学部でアイヌ語・アイヌ文化に関する授業を毎年行い、機会があれば全国各地で講義を行っている。

アイヌ文学の研究

アイヌ人は口頭伝承によるさまざまな物語を数多く伝えている。そこに描かれているのは、人間とそれをとりまく動物や植物などさまざまなものが、ひとつの共同社会を築いているという世界観である。ストーリーとしても、日本の昔話などとは共通しない、面白い話がたくさんある。しかし、その多くの話はまだ日本語では紹介されておらず、限られた人にしか知られていないものである。それをアイヌ語から翻訳・紹介し、そこで描かれている世界やものの考え方、生活についての研究を行っている。

日本周辺の少数言語の研究

日本列島の周りには、アイヌ語だけでなくさまざまな言語が話されてきたが、その多くは次第に話し手が少なくなり、忘れ去られようとしている。アイヌ語と同じような歴史をたどってきたそうした言葉が記憶から消え去らないように、継承しようと志す人が現れたらそういう人たちに支援できるように、それらの言語の研究法について研究・講義し、若い研究者を育てている。

主要な所属学会

日本言語学会(常任理事:2003-2005, 役員:2006-2007, 評議員:2013-)、日本口承文芸学会(運営理事:1995-1998, 2000-2001, 2005-2006, 2015-)

社会的貢献

(財)アイヌ文化振興・研究推進機構 の委託を受け、1998年より、東京八重洲のアイヌ文化交流センターにおけるアイヌ語上級話者講座と、北海道で行われるアイヌ語指導者育成講座の講師を務め、現在も継続中。両事業とも対象はアイヌ人であり、アイヌ人の中からアイヌ語を話せる人、アイヌ語を指導できる人を育成する事業である。 また、最大のアイヌ人団体である北海道ウタリ協会の事業として開かれているアイヌ語教室にも、色々な形で講師として協力している。

また、2020年に日本で5番目の国立博物館として設立予定のアイヌ民族博物館に関して、展示検討委員会委員、「民族共生の象徴となる空間」におけるアイヌの伝統等に係る体験交流等活動に関する有識者検討会議委員、体験交流・情報発信検討部会委員を務め、同博物館およびアイヌ文化の維持・発展に係わる諸事業に協力を行っている。

主要な研究業績

著書

  • 中川裕監修 国立大学法人千葉大学編『アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化に関する調査研究事業 第2年次(北海道沙流郡平取町)』(国立大学法人千葉大学, 2015)
  • 『アイヌ語をフィールドワークする』(大修館書店 1995)
  • 『アイヌ語千歳方言辞典』(草風館 1995)
  • 『アイヌの物語世界』(平凡社ライブラリー 1997)
  • 『エクスプレスアイヌ語』(中本ムツ子と共著、白水社 1997)
  • 『カムイユカラでアイヌ語を学ぶ』(中本ムツ子と共著、白水社 2007)
  • 『アイヌ語のむこうに広がる世界』(SURE 2010)
  • 『語り合うことばの力―カムイたちと生きる世界』(岩波書店 2010)
  • 『ニューエクスプレスアイヌ語』(白水社 2013)

論文

  • 「国立民族学博物館所蔵鍋沢元蔵ノートの分析」(中川裕・遠藤志保編『国立民族学博物館所蔵 鍋沢元蔵ノートの研究』国立民族学博物館調査報告:SER 134, 2016)
  • 「アイヌ散文説話における外来的要素と人称」 (『日本文学』Vol.42, 日本文学協会 1993 )
  • Современное состояние движение по возрождению айнского языка,Б.О.Пилсудский-исследватель народов Сахалина,Сахалинский  Областной Краеведческий Музей, 1993
  • 中川裕・佐藤知己・斎藤君子「サハリンにおけるニブフ語基礎語彙の地域差」(『サハリンの少数民族』文部省科学研究費補助金研究成果報告書 1993)
  • 「動物神の自叙 - アイヌの神謡 - 」(『古代文学講座』第2巻, 勉誠社 1993)
  • 「アイヌの物語に見るカムイの装い」(『化粧文化』30号, ポーラ文化研究所 1994)
  • 「言語地理学によるアイヌ語の史的研究」 (『北海道立アイヌ民族文化研究センター研究紀要』第2号,1996)
  • 「少数民族と言語の保持」(宮岡伯人編『言語人類学を学ぶ人のために』世界思想社 第12章, 1996)
  • 「アイヌ文学 総論」(志賀雪湖、奥田統己との共著) (久保田淳他編『岩波講座 日本文学史』第17巻 口承文学2アイヌ文学,岩波書店,1997)
  • Мировоззрение айну и их устное творчество (Именование и толкование жанров и текстов), Институт мировой литературы имени А. М. Горьково, Фольклор.  Комплексная текчтология,  Издательство 《НАСЛЕДИЕ》, Москва, 1998
    Ainu Language: Present and Future, W.W.Fitzhugh and C.O.Dubreil ed., Ainu Spirit of a Northern People, Arctic Studies Center, National Museum of Natural History, Smithonian Institute,1999
  • 「口承文芸のメカニズム-アイヌの神謡を素材に-」(藤井貞和他編 シリーズ言語態第2巻『創発的言語態』東京大学出版会, 2001)
  • 「アイヌ語テキストの電子化の現状と課題」(『文学』岩波書店 2001年11,12月号, 2001)
  • 「アイヌ文学の精神像-散文説話を事例に-」(東北芸術工科大学東北文化研究センター『東北学』Vol. 7, 2002)
  • 「言語からみた北方の交易」(大塚和義編『北太平洋の先住民交易と工芸』思文閣出版, 2003)
  • 「日本語とアイヌ語の史的関係について」(アレキサンダー・ボビン、長田俊樹編『日本語系統論の現在』(日文研叢書31)国際日本文化研究センター, 2003)
  • 「アイヌ語の現在と未来―危機言語の維持と復興」(本田俊和他編『文化人類学研究 先住民の世界』14章 放送大学教育振興会, 2005) 放送大学大学院教材
  • 「公開シンポジウム『二一世紀後半の言語』」(「二一世紀後半の言語」企画班編『21世紀後半の世界の言語はどうなるのか-情報化・国際化のなかの言語』明石書店:明石ライブラリー79, 2005)
  • 「アイヌ文学の基礎知識、討論」(本田優子編『アイヌの歴史と物語世界』札幌大学ペリフェリア・文化学研究所(シンポジウム&公開講座報告集【アイヌ文化研究の今】1, 2005)
  • 「アイヌ人によるアイヌ語表記への取り組み」(塩原朝子・児玉茂昭編『表記の習慣のない言語の表記』東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所, 2006)
  • 「アイヌ語学との対話」(大野晋・金関恕編『考古学・人類学・言語学との対話 日本語はどこから来たのか』, 2006)
  • Nivkh and Ainu(OKUDA, Osamiと共著:O.Miyaoka, O.Sakiyama and M.E.Krauss eds., The Vanishing Languages of the Pacific Rim, Oxford, 2007)
  • 「アイヌの昔話」(日本口承文芸学会編『シリーズことばの世界 第2巻 かたる』三弥井書店, 2008)
  • 「アイヌ語の接頭辞度」(津曲敏郎編『サハリンの言語世界』北海道大学大学院文学研究科北方研究教育センター, 2009)
  • 「アイヌ英雄叙事詩成立過程の時間層―ユカラにおけるイシカラ人の役割」(『口承文芸研究』第32号, 2009)
  • 「ウエペケレ―アイヌの散文説話」(花部英雄、松本孝三編『語りの講座 昔話への誘い』三弥井書店, 2009)
  • 「アイヌ語の地域差」(『国文学解釈と鑑賞』平成22年1月号, 2010)
  • 「アイヌの歌謡」(『國學院雑誌』第110巻第11号, 2010)
  • 「アイヌ語動詞の複数・多回性標識paとci」(東京大学人文社会系研究科・文学部言語学研究室編『東京大学言語学論集』29 上野善道先生退官記念号, 2010)
  • 「アイヌの神謡における叙述者の人称」(北方言語ネットワーク編『北方言語研究』第1号、北海道大学大学院文学研究科, 2011)
  • 「アイヌ語」(『日本語学』「特集 日本の危機言語」2013年8月号, 2013)
  • 「アイヌ語」(庄司博史編『世界の文字事典』丸善出版, 2013)

その他

  • 「アイヌ口承文芸テキスト集14 白沢ナベ口述 ウエペケㇾ 和人の殿様にもらわれた男の子」(千葉大学ユーラシア言語文化論講座編『千葉大学 ユーラシア言語文化論集』第17号, 2015)
  • 「アイヌ語」(庄司博史編『世界の文字事典』丸善出版, 2015)
  • 「似ていてはいけない アイヌ語」(岩波書店辞典編集部編『世界の名前』, 2016)
  • 中川裕・大谷洋一「アイヌ語研究の現状と問題点」(『言語研究』第108号, 三省堂 1995)
  • 「アイヌ語を訪ねて」(三省堂『高等学校現代文2』,2000)
  • 「トゥムンチ ペンチャイ、オコッコ ペンチャイ-アイヌ語千歳方言叙事詩テキスト-」 (三浦佑之編『叙事詩の学際的研究』平成9年度~平成12年度科学研究費補助金(基盤研究(C)(2)) 研究成果報告書, 2001)
  • 「ペテルブルグMAEコレクションのアイヌ語資料」(千葉大学ユ-ラシア言語文化論講座編
    『千葉大学ユーラシア言語文化論集』第1号, 1998)
  • 「лопухとは何か」(千葉大学ユ-ラシア言語文化論講座編『千葉大学ユーラシア言語文化論集』第2号, 1999)
  • 「アイヌ口承文芸テキスト集1 白沢ナベ口述 狼から逃れた娘」(千葉大学ユ-ラシア言語文化論講座編『千葉大学ユーラシア言語文化論集』第3号, 2000)
  • 「アイヌ口承文芸テキスト集2 白沢ナベ口述 主人を助けられなかった犬」(千葉大学ユ-ラシア言語文化論講座編『千葉大学ユーラシア言語文化論集』第4号, 2001)
  • 「アイヌ口承文芸テキスト集3 白沢ナベ口述 トパットゥミから逃れたウライウシナイの少年」(千葉大学ユ-ラシア言語文化論講座編『千葉大学ユーラシア言 語文化論集』第5号, 2002)
  • 「アイヌ口承文芸テキスト集4 白沢ナベ口述 ナナカマドのイナウで伝染病の神を倒した」(千葉大学ユ-ラシア言語文化論講座編『千葉大学ユーラシア言語文 化論集』第6号, 2003)
  • 「アイヌ口承文芸テキスト集5 白沢ナベ口述 ワウォリ:アオバトが生れたわけ」(千葉大学ユーラシア言語文化論講座編『千葉大学 ユーラシア言語文化論集』第7号, 2004)
  • 「アイヌ口承文芸テキスト集6 白沢ナベ口述 兄に殺されかけ、犬に救われた」(千葉大学ユーラシア言語文化論講座編『千葉大学 ユーラシア言語文化論集』第8号, 2005)
  • 「アイヌ口承文芸テキスト集7 白沢ナベ口述 狼が人間の母親に虐待された」(千葉大学ユーラシア言語文化論講座編『千葉大学 ユーラシア言語文化論集』第9号, 2006)
  • アイヌ口承文芸テキスト集8 白沢ナベ口述 ユカライルパイェ:シヌタプカ人、石狩人と戦う」(千葉大学ユーラシア言語文化論講座編『千葉大学 ユーラシア言語文化論集』第10号, 2008)
  • 「アイヌ口承文芸テキスト集9 白沢ナベ口述 カニに手足が生えるわけ」(千葉大学ユーラシア言語文化論講座編『千葉大学 ユーラシア言語文化論集』第11号, 2009)
  • 「アイヌ口承文芸テキスト集10 白沢ナベ口述 ペナンペ金の子犬を授かる」(千葉大学ユーラシア言語文化論講座編『千葉大学 ユーラシア言語文化論集』第12号, 2010)
  • 「アイヌ口承文芸テキスト集11 白沢ナベ口述 キネズミに妹をさらわれた男」(千葉大学ユーラシア言語文化論講座編『千葉大学 ユーラシア言語文化論集』第13号, 2011)
  • 「アイヌ口承文芸テキスト集12 白沢ナベ口述ユカライルパイェ 敵の村の美女を妻に迎えたシヌタプカウンクル(千葉大学ユーラシア言語文化論講座編『千葉大学 ユーラシア言語文化論集』第14号, 2012)
  • 「アイヌ口承文芸テキスト集13 白沢ナベ口述 チセコロカムイの怒り」(千葉大学ユーラシア言語文化論講座編『千葉大学 ユーラシア言語文化論集』第15号, 2013)

WEB公開資料

  • アイヌ語児童教材
  • アイヌ語鵡川方言 日本語―アイヌ語辞典
  • アイヌ語音声資料アーカイヴズ

以上、千葉大学人文社会科学研究科地域研究センターホームページ(http://cas-chiba.net/)で公開

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